冬の夜明け前はとても静かだ

けれど、ついさっきまでは周囲を喧騒が包んでいた

戦争と言う名の舞曲が


けれど、空が白み始める頃には終わった様で、護衛として来ていたケルベロスが気配を感じたのか

身体を伏せて休み始める

冬の朝に注ぐ日の光はとても気持ちが良い

だから、任務の最中だと言うのに少しだけ謳ってしまった


空気を震わせて音にして、気持ち良さを謳う


呼応する様に周囲の木々も草花も

そして、傍に伏せていたケルベロスも


朝日を浴びる事の出来る幸せを謳う



今だけは見張りも何も忘れて光の中に



暫く後に伝令が来て伝える

自国の勝利を



淘汰の終了

天翼解放についで二つ目


過ごした森と近い世界

弱肉強食の理は人の世でも


きっと基は変わらない


樹も人も世界も


弱いモノから消えていく



ヒトに聞けば其れは悲しいと言い

彼らは一つ一つの死に意味を求める

騎士道、宗教、色々な物を死に添えて彩る


其れはとても歪で素敵だと柿は思う


ヒトにしかないものだ


だから彼らを見るのは面白い


まだ暫くは見ていられるだろう

此度はこの身は朽ちなかったのだから





根を新たな場所へ追加