手を上げる

お、気付いた気付いた


やぁ、懐炉
久しぶりだね、ほら、これ
冬は土が痩せ易いから持って来たよ

なに、御代は今度でいいさ
しがない園芸店の店主とは言え一応は貴族の出なんだぜ
其れなりの蓄えもあるし、戦時とは言え客も居る


はは、心配そうだな
なぁに、お前さんの国とは今敵同士じゃないからこれくらいはいいのさ
敵同士になっちまったらそうも言えないけどな


ま、今考える事じゃない


しかし、この間バードマン達が統一したのにすぐこれか
難儀だな、俺達は


なぁ、懐炉
面白いとは思わないか?
統一がされても各国はすぐさま反攻できる程の力を有して立ち上がる
まるで、其れが当然の様に

何度でも何度でも、其れこそ懐炉がこっちに出てくるまで何度でもだ


そうそう、こんな話を聞いた事はあるかな?


呪術の世界では強力な毒を作り出す為に一つの壺に毒を持つ者を何種も何匹も入れ生き残ったものを殺して毒を取るそうだよ
壺の中で殺し合う内に毒はより強力に、濃くなっていく


まるで今のこの大陸の様じゃないか

そうは思わないかい?


もし、誰かがこの大陸を使ってそう言う物を作っているのだとしたら、其れの目的は何なのだろうね

最強と謳われる国の毒は誰が何の目的の為に


はは、面白かったかい?
いや、実は今度こういう話で持込をしようと思っていてね、意見を聞きたかったのさ
この堆肥類はその代金という訳だよ、納得いったかい?


ああ、今日はそれだけだよ
また今度ゆっくり話そうじゃないか

見せの方にもたまには顔を出してくれよ
常連さんが寂しがっていたよ。顔が見たいってさ


じゃあな